脳動静脈奇形という病気は先天性であると考えられ、すなわち母体の中にいる胎生3-4週頃に発生し生まれた時には既に持っていると考えられています。脳動静脈奇形の自然発生は12.4人/100万人/年といわれています。
脳の血液供給は、酸素や栄養を含んだ圧の高い動脈血が、毛細血管という細い血管を介して脳の細胞に分配され、その後に脳の細胞から二酸化炭素や老廃物を圧の低い静脈血として心臓へ戻る循環動態が正常のパターンです。毛細血管は圧の高い動脈血から圧の低い静脈血へと移行する際の物質の交換場所であると同時に動脈系と静脈系の圧差を調整する緩衝作用があります。
しかし、この毛細血管が欠落し、圧の高い動脈血が圧の低い静脈血へ直接吻合してしまう奇形があり、その吻合部には拡張した血管が塊(Nidusナイダスと呼びます)を作っております。
動脈→毛細血管→静脈といった正常構造ではなく、動脈→ナイダス→静脈という異常構造を持った疾患を脳動静脈奇形といいます。動脈血が直接静脈に流れ込むために静脈圧が高くなり拡張します。この静脈をred vein(赤い静脈)と呼び脳動静脈奇形に特徴的な血管です。
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